子どもの舌下免疫療法
免疫療法とは
アレルゲン免疫療法とは、アレルゲンを少しずつ体内に吸収させることで、アレルギー反応を弱めていく治療法で、唯一アレルギー性鼻炎の根本的治療といえます。
舌下免疫療法はアレルゲンを含むエキスを舌の下に投与し、体内に吸収させます。この投与を継続的に行うことで症状を軽減させていきます。舌下免疫療法は以前の注射での免疫療法(皮下免疫療法)に比べ、効果は同等であるといわれておりますが、副作用も少ない事(アナフィラキシーショックは1億回に1回で死亡例なし。口の腫れや、口・喉・耳のかゆみは4.2%)や痛みがない事、手間が少ない事が特徴です。そのため子供の治療としてもお勧めです。
お子さんにも舌下免疫はできるか?対象年齢は?
スギ花粉症またはダニアレルギー性鼻炎と確定診断された患者さんが治療を受けることができます。
スギ花粉症、ダニアレルギーともに5歳以上から開始することができます。症状を抑える薬を処方されており、毎日きちんと薬を服用できるお子さんであれば、舌下免疫療法は是非とも試みてほしい治療法です。
初めての服用は、医療機関で医師の監督のもと行い、2日目からは自宅で服用します。その後は定期的な受診が必要です(1ヶ月おき)。1~2年は効果を診ていき、効果のある方は治療は最低3年間程度、毎日1回継続する事をお勧めしてます。
※ダニ舌下免疫に関しては喘息のあるお子さんでは、喘息発作が悪化する事もあるため、かかりつけ小児科医と連携をとり、慎重投与もしくは導入できない場合もございます。
子どもの舌下免疫療法の効果
スギ花粉症やダニのアレルギー性鼻炎による鼻水や鼻づまり、目のかゆみなどのアレルギー症状が軽減、薬の投与量を減少させることが期待できます。さらに皮下免疫療法のデータではありますが、ほかの花粉に対するアレルギー発症予防や、喘息新規発症予防の効果、生のくだものや野菜を食べると口がピリピリするPFAS※への効果も期待できるとの報告もあります。しかし、すべての方に効果があるとは限りません。約70-80%の方に効果あります。(20%の方は効果のないといわれております。:どのような方に効果がでないのかは現在研究中であります。)
※PFAS:花粉-食物アレルギー症候群(pollen-food allergy syndrome)は、口腔アレルギー症候群(OAS)のなかで感作アレルゲンが花粉の場合をいいます。
当院ではお子さんの舌下免疫療法も積極的に施行しております。
アレルギー性鼻炎に対する免疫療法の第一人者である大久保公裕教授の下で約10年免疫療法について多くを学んでまいりました。そのため免疫療法については、皮下免疫療法の経験もあり、舌下免疫療法に関しては保険適応の前(治験など)から携わってまいりました。そのため、これまで多くの免疫療法の方を診て参りました。
是非、舌下免疫療法をお考えの方は当院外来でご相談ください。
スギアレルギーのある方は6月から12月の間に開始できます。(1-5月は治を療開始できません:アナフィラキシーショックの可能性が高いため)
※舌下免疫療法ができない方
- 重度気管支喘息をお持ちの方
- 治療薬でショックを起こしたことがある方
- 転居の予定があるなど、近い将来通院が困難となることが予想される場合
- 悪性腫瘍や免疫系の病気治療中の方
- ステロイドの内服薬やβ遮断薬、抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害剤を使用されている方